ちょっと思いつきで作った記事です。
東京都の新型コロナ新規感染者数をEMA(指数平滑移動平均線)とMACDを使って振り返ってみました。
コロナ新規感染者数は瞬間的に増減するものではないのですし、新規感染者数が限りなく0に近づけば、当然下げ止まりも起きやすい訳なので、EMAとMACDが機能する確証はありません。
つきましては、「こういった見方もあるんだ。」くらいなスタンスでご笑覧いただけると幸いです。
はじめに EMA&MACDとは?
EMAとMACDは相場の値動きを予想するときに使われるテクニカル分析指標です。
- EMA(指数平滑移動平均線)
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一定期間の数値の平均値を折れ線グラフで表したもの。
直近の数値が重視されるように計算が工夫されている。 - MACD
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期間の異なる2つの移動平均線の差からトレンドを判断する指標。
MACD線とシグナルとのクロスを見ることで早期にトレンドの転換を予測できる。
この記事では3つのEMAと1つのMACDで分析を行っています。
- 1週間 EMA
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上のグラフ 赤色の折れ線
直近1週間の移動平均線
- 4週間 EMA
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上のグラフ 緑色の折れ線
直近4週間の移動平均線
- 12週間 EMA
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上のグラフ青色の折れ線
直近12週間の移動平均線
MACDはMACD線とシグナルで構成されます。
- MACD線
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下のグラフ赤色の折れ線
期間の異なる2つの移動平均線の差分
今回はMACD線を1週間 EMAと4週間 EMAの差分で作成しています。
(計算式:MACD線=1週間 EMAー4週間 EMA) - シグナル
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下のグラフ黄色の折れ線
MACD線の9日 EMAです。
EMAから読み取れること
EMAは一定期間の数値を平均化して描いた線ですが、この線が何を意味するのか、1週間 EMAと4週間 EMAを例に解説します。
EMAの位置でトレンド判断
例えば1週間 EMAが4週間 EMAよりも上にあるということは、直近1週間の新規感染者数が4週間の新規感染者数よりも平均して多いということを意味します。
反対に1週間 EMAが4週間 EMAより下にあれば、直近1週間の新規感染者数が4週間の新規感染者数よりも平均して少ないということを意味します。
1週間 EMA>4週間EMA=ここ最近は新規感染者数が増加傾向にある
1週間 EMA<4週間EMA=ここ最近は新規感染者数が減少傾向にある
EMAのクロスでトレンド転換を察知
2つのEMAがクロスすることでトレンドの転換を察知できます。
例えば1週間 EMAが4週間EMAを下から上へクロスするということは、直近1週間の新規感染者数が4週間の新規感染者数よりも平均して多くなったということを意味します。
反対に、1週間 EMAが4週間EMAを上から下へクロスするということは、直近1週間の新規感染者数が4週間の新規感染者数よりも平均して少なくなったということを意味します。
つまり2つのEMAのクロスすることで、新規感染者数のトレンドが増加から減少へ転じた(その逆も然り)というようなことが推察できるということです。
MACDから読み取れること
先に記載した通り、MACDはMACD線とシグナルで構成されています。
MACD線=1週間 EMAー4週間 EMA
シグナル=MACD線の9日間 EMA
MACD線の高低差からトレンドの強さを判断
MACD線は0地点ラインを上方向と下方向にクロスします。
MACD線が0地点ラインを上方向にクロスし、さらに上方向へ間隔が広がっている場合、新規感染者数の増加トレンドが強いことを意味します。
反対にMACD線が0地点ラインから下方向にクロスし、さらに下方向へ間隔が広がっている場合、新規感染者数の減少トレンドが強いことを意味します。
このようにMACD線と0地点ラインの間隔からトレンドの方向と強弱を予測することができます。
トレンドの転換をより早く予測
MACD線の動きだけでもトレンドの転換を予測できるのですが、それよりも早くトレンドの転換を察知することを可能にするのが、シグナルです。
シグナルはMACD線の移動平均線のことで、この記事ではMACD線の9日間 EMAをシグナルとして定義しています。
MACD線がシグナルを下から上にクロスした場合、新規感染者数のトレンドが減少から増加に転換したことを意味します。
MACD線がシグナルを上から下にクロスした場合、新規感染者数のトレンドが増加から減少に転換したことを意味します。
また、MACD線のEMA(これが「シグナル」)を加えることで、先に説明した2本のEMAのクロスよりも早く、トレンドの転換を予測することができます。
グラフの解説は以上です。
それでは、EMAとMACDを使って東京都と大阪府の新規感染者数を分析してみましょう。
東京都のコロナ新規感染者数の振り返り
まずは東京都のコロナ新規感染者数にEMAとMACDをプロットしてみます。
(期間は2021年1月1日から4月20日)
新規感染者数が増加から減少に転換した時期
2回目の緊急事態宣言が発表された1月9日が1週間 EMAのちょうどピークになっています。
そこから1週間 EMAがだんだんと減少して、1月20日に4週間 EMAを上から下にクロスしています。
MACDで見るともう少し転換サインが出るのが早くて1月11日にMACD線がシグナルをクロスしていることが分かります。
さらにもう少し長い期間でEMAを見てみましょう。
2月3日に4週間 EMAが12週間EMAをクロスしており、新規感染者数の減少傾向がより強くなっていることが伺えます。
MACDから下げ止まりの予兆はあった
3月ごろから緊急事態宣言の解除の見通しに関するニュースが出ていましたが、同時に新規感染者数の下げ止まりと解除によるリバウンド懸念の声も挙がっていました。
実際EMAを見てみると、2月下旬以降、1週間 EMAは下げ止まっています。
もちろん新規感染者数を2000人から500人に減らすのと、500人から100人未満に減らす労力を一緒にすべきではないと思いますので、ここを下限と判断するもの間違いではないと思います。
ではMACDで見てみるとどうでしょうか?
2月上旬の時点で、MACD線はシグナルを下から上へクロスしており、EMAがはっきり横ばいになるよりも早く下げ止まりを予兆していることがわかります。
繰り返しですけど、新規感染者数が0に近づくほど、4週間 EMAが1週間 EMAに追いつきやすくなるので、下げ止まりしやすくなりますし、MACD線がマイナス域から0地点ラインの方へ上昇しやすくもなります。
この時期はMACD線が、横ばい&上昇しやすい状況にはあったということはご留意ください。
緊急事態宣言解除後まもなく新規感染者数の拡大予兆を確認
3月21日に緊急事態宣言が解除されましたが、その数日後からすでに1週間 EMAは4週間 EMAよりも上の位置をキープし続けています。
またMACDにおいても、MACD線が0地点ラインから徐々に上振れはじめています。
4月20日現在、東京都の新規感染者数が増えているという点については、世の中の共通認識だと思いますが、付け加えさせてもらうなら、その勢いはじわりじわりと強まってきていたと言えそうです。
東京都の対策にタラレバを言わしてもらうなら…
ここまで見てきた分析は言ってしまえば「後出しじゃんけん」的に考察している訳でして、決してすごいものではありません。
が、承知の上でこの指標に基づいて対策を論じるなら、3月21日までに新規感染者数の増加傾向が強まることを示すような次のサインがでており、それらに鑑みると緊急事態宣言を継続ないし、より強力な規制という判断もありだったのかなと思います。
- MACD線が2月上旬時点で新規感染者数の下げ止まり
- 1週間 EMAが、3月の上旬の時点ではっきり横ばい
- MACD線が2月上旬以降右肩上がりのトレンドを継続
今後も増えそうな新規感染者、どうする?
コロナの新規感染者が減る気配がみられませんね。
2回目の緊急事態宣言以降に適用された「まん延防止等重点措置」もむなしく、4月下旬まで新規感染者数は増え続け、3回目の緊急事態宣言も実施間近。
2021年のゴールデンウイークも思う存分楽しむ雰囲気にはならなそうです。
TVの街頭インタビューやSNSを見ていると、緊急事態宣言を早急に実施すべきという意見と緊急事態宣言に反対する意見に分かれています。
「反対」という表現は少し言葉が強いかもしれません。
やっても意味がないというちょっと冷めた感じでしょうか。
言い換えると「緊急事態宣言を解除したらどうせ増える。また期間中の経済損失も大きい」という意見なのだと受け取りました。
緊急事態宣言に賛成にしろ、反対にしろ、これまでの緊急事態宣言の効果に対して、多くの人の心に懐疑心が芽生えているのは確かだと思います。
わたしとしては、やるなら徹底的に、その代わりに短期決戦でお願いしたいです。
若干ゆとりを残した長期間の緊急事態宣言はリバウンド懸念があることは既に証明したと思います。
ITを利用した感染予防はできないのでしょうか?
例えば、PCR検査で陰性でないと交通機関に乗れないというようなアイデアがあってもよいと思います。
交通系ICカードにPCR検査結果を連携するイメージです。
乗車人数に対してPCR検査数が追い付かないなら「COCOA」を稼働していないと改札通れないみたいな仕組みでもいいです。
(あのアプリ。多額のコストをかけていますし、有効活用する工夫がほしいところです。)
スマホ持ってない人は?みたいな意見もあるのでしょうが、大多数の陰性確認ができる方がメリット大きいと思います。
「やってみなはれ」です。